お世話になっております。インキュベクスの青井です。

本日は、医師の訪問看護ステーションの参入事例として今春の新規開業に向け準備を進めている合同会社メディシンク代表の宮澤優介様のインタビューをお送りします。

宮澤様は、現役の医師でいらっしゃると同時に、医師国家試験合格のための予備校の講師などもされております。

これまでの背景、そしてドクターとして訪問看護事業に参入された理由などについてお話を伺いました。

目指すのは患者さんファースト。 病院とはまた違う目線で、看護ステーションならではの看護を実現したい

どうぞよろしくお願いいたします。

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よろしくお願いします。

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はじめに、宮澤様のこれまでのご経歴を教えていただければと思います。

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はい。順天堂大学医学部を卒業後、医師免許を取り、そこから最初は基礎研究に行こうと思い、東京大学に進みました。

ただ、そこで研究をしてみて思ったのが、「社会とのつながりがすごく薄い」ということでした。

もう少し、医療に直結することができないか、と。

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ちなみに、研究室ではどんな研究をされていたんですか?

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脳神経です。記憶のメカニズムの研究で、医学の中でホットな分野ではあるんですが。

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花形の研究だと思いますが、もっと臨床に近いことをされたいと?

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研究にも段階があり、臨床に直結しているものもありますが、臨床的には何の役に立つのかわからないものもあり、自分がやらなくても他にもっと得意な人がやればいいのではないか、と思いました。

ではどんなことがやりたかったかというと、当時、同じ医者という立場で臨床医を見たときに、医者としての欠点が見えてしまうことがたびたびあったんです。

これは、臨床医の教育が足りないなと思い、教育の立場から医療をサポートできないかと考えました。

そこから、医師の教育に関わるようになりました。

私自身、学生のころから大学の授業に問題を感じていました。教えている側も教育のプロではありません。もっと役に立つ知識を効率的に教えることが、医者の質を上げる根本的なところではないかと思ったんです。

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お医者様で医師の教育に興味を持つ方は、珍しいのではないですか?

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ほとんどいないですね。

教育の質を問われるとしたら、卒業後の教育、研修医にどう教えるか、という部分です。

ある意味、医学生への教育は軽視されている部分があるかもしれません。だったら、自分しか興味を持たないことを探してやってみよう、という気持ちもありました。

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医師を目指した原点

もともと、宮沢様が医師を目指されたのは、何かきっかけがあったんでしょうか。

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わりと夢多き子どもでしたが、一番大きなきっかけは、中学2年生のときに祖父を脳卒中で亡くしたことです。

当時は自分がまだ子どもだったので、親も詳しい話はしませんでしたが、今思うと医者たちの対応が良くなかったんじゃないかな、と。

人の死は、それがたとえ老衰だったとしても、家族にとって大きな負担があります。

そういうのを見ていて、医師の対応、家族との関係やコミュニケーションなど、何かもっとやりようがあったではないかと感じ、そのときに医学部に行こうと決心しました。

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それが原点だったんですね。

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そこが原点だったからこそ、やはり医師の教育という分野にすごく興味がありました。

教育というと、「それなら大学に残って、後進の教育に携わるのが道なのでは?」と言われたんですが、大学は、医師免許を取らなければならない場所です。そうするとどうしても、「ここは試験に出るから」とか、試験対策の話が中心になるんですよね。

大学が教えるべきことは、それだけではないと思うんです。もっと医学の話や、患者さんとの実体験など、医者の情操教育や倫理教育に関わるべきなのに、大学の方針は今どこも「合格率を上げる」となってしまっています。

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そうなんですね。

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それならば、国家試験対策は予備校に任せればいい、と。

そうすれば大学は、より倫理教育に関わっていけるようになります。

というところで、まず大学の予備校化を止めたい、その分、予備校を強くしようと思い、医師国家試験対策の予備校の講師になりました。

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かなりの方を合格に導かれた、と聞きました。

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そうですね……、それなりに(笑)。

その予備校で、4年、5年過ごしていた方もいらっしゃったので。

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5年ですか!?

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もう大学は卒業しているので、国家試験に受かるまで何もできないんですよね。

そういう方たちも無事に合格していきました。

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そうやって、まずは合格するための教育を徹底的にやるけれど、その裏にある思いは、医師としての志を持ってほしい、ということですね。

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そうですね。「試験は合格点ジャストでも満点でも、何でもいいけれど、そこから先に医療があるから、ここで止まることなく、日々、学び続けていってほしい」というのは、伝えているつもりです。

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他にもいろいろなことに携わられていますよね。

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いろいろやらせていただいていますが、ベースはあくまでも教育にあります。

ひとつは「試験対策として教育を数字化する」ことです。

学生の試験の解答パターンを集めて解析すると、その人の点数が表す本当の学力というのが出るんです。

医学の試験は五者択一で、実はあいまいな面もあります。それを抽象化して学力という指標に落とし込む理論を、もっと明快に解釈するという解析技術で、今特許を申請中です。

そもそも医療者の方って数字に弱い面があり、今あるデータをなんとなく参考にしているけれど、「そもそも統計の取り方が違うんですよ」ということがけっこうあるんです。

そのデータの取り方でよいか、というところから一緒に検討していきます。

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すごいですね。医学と統計の勉強って違う気がするんですが、統計は独自に学ばれたんですか?

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完全に趣味ですね(笑)。

もともと高校のときから数学がすごく好きでした。それで勉強していると、医師が表面的な数字だけで判断していると思われることが多いと実感します。
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患者さんを地域に戻す受け皿としての、看護ステーションづくり

このたび、訪問看護ステーションを開所しようと決意されましたが、なぜご興味を持たれたんでしょうか。

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公衆衛生を勉強していると、医療費は今、かなり深刻な問題になってきていることがわかります。

その原因のひとつは、日本の医療が病院偏重型だということです。一度入院すると、なかなか退院できないという傾向が強い中で、地域に流していかない限り、医療経済は崩壊します。

崩壊させないためには地域が受け皿になり、病院側がしっかりと安心して任せられる訪問看護を充実させなければ、と考えました。

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そうなんですね。

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患者さんのQOLを満たしたい、というのも根本にあります。患者さんを自分の住み慣れた地域に戻してさしあげることを実現したいという思いもあります。

大きな病院ではフォローしきれない部分、患者さん個人を見ることも、訪問看護ステーションなら実現できると思います。

自分の家族に医療が必要になったときのことを考えると、病院でしか対応してもらえないというのではなく、自宅にいながら看護を受けられたらより良いと思うんです。

病院が嫌だというのではなく、依存しすぎてはいけないということです。すみ分けですね。疾患の治療は病院で行い、そのあとは自宅で療養できる体制を作りたいです。

療養に関しては看護師の領分ですし、その受け皿を作っていきたいと思っています。

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インキュベクスとの出会い

このたび、訪問看護ステーションを立ち上げるということで、私たちがご一緒させていただくことになりましたが、インキュベクスを知ったきっかけは何だったんでしょうか。

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きっかけはホームページの内容で、インパクトが強かったことです。

実際にお会いしてみて、システムやデータがきちんと構築されていたことがわかり、お話をさせていただいて、この方たちとならやっていきたいなと思いました。

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ありがとうございます。

これから宮澤様が目指すのは、どんなステーションでしょうか。

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知り合いの看護師が病院で働いていて「つらい」という声をよく聞きます。なぜそんな楽しくない働き方をしているんだろう、と思っていました。

働いている人が「働きたくない」という場所が、いい職場なわけがないと。

その中で、「在宅」に興味がある、という話も聞き、みんなが興味がある訪問看護ステーションなら、看護師自身がやりたいことを完全にできるのでは、と思いました。

提供するのは当然、すべてが“患者さんファースト”。

そのために「こんなことがしたい」ということが、大きな企業では実現するのに時間がかかるかもしれないけれど、それが患者さんのためであれば、看護師がやりたいことをすべて実現していく、そんなステーションにしたいと思っています。

看護師が「これ、利益性があまりないんですが、患者さんが望んでいます。どうしましょう?」と言ったときに、「じゃあやりましょう」と言えるステーションでありたいですね。

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病院の常識にとらわれず、患者さんのために動ける看護師と働きたい

どんな看護師さんと働きたいと思いますか?

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「在宅看護という働き方が楽しい」と言える人が一番いいですね。

在宅看護の患者さんは、急に麻痺症状が出た方や、若い方だったり、ということもあります。患者さん自身が混乱している状態のこともあります。

そういうとき、看護師に当たってくるようなこともあり、実際、看護師にとって大変な仕事だと思うんです。それでもやりがいを感じてくれる人じゃないと、難しいのかなと思います。

もうひとつ、これも大切なのですが、病院の常識にとらわれていない人がいいなと思います。

「病院だとこれを言ったらダメだったから、もう言わない」とか「病院ではこれはやらなかったから、ここでもやらなくていいか」ではなく、「実は疑問に思っていたんですが、これはこうしたらどうですか?」とか「手間がかかりますが、こうするべきではないか」とか。

逆に「なぜこんな無駄な手間をかけているんですか」というのを、どんどん変えていける人たちがいいですね。

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宮澤様ご自身も、いろいろ変えてきた方ですからね。

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そうですね。

「抜本的な改革をどんどんやっていきたいです」、というくらいの情熱にあふれる看護師がいいですね。

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宮澤様がその受け皿を作る、ということですね。とても楽しみです。

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また、看護師が修めている学問は、「療養・看護学」で、医師が修めるのは「医学」です。お互いに強みや知識を教え合えたらとも思います。

また、ケアマネージャーさんや患者さんも、医者にはちょっと聞きづらいこと、病院では聞けなかったことも、私たちに気楽に聞いてもらえるような、そんな関わり方ができればいいなと思っています。

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みなさんから頼られる、気楽に相談できるステーションになりそうですね。今後を楽しみにしております。

どうもありがとうございました。

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宮澤様が代表を務める「訪問看護・リハビリステーション エガオコネクト文京」では、現在オープニングメンバーを募集しています。

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