お世話になっております。インキュベクスの青井です。
本日は、京都で訪問看護ステーションを開業予定の白井和樹様にお話をうかがいます。
白井様は介護福祉士、ケアマネージャーとして介護業界で働かれ、現在は不動産賃貸の会社を経営されています。
これまでのご経験や、ステーション開業を決意するに至る思いなどをうかがいたいと思います。
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白井様、本日はよろしくお願いします。
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よろしくお願いします。
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まずは白井様が介護の仕事に就かれたきっかけを教えていただけますか。
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はい。父親が建築業を営んでおり、20代前半は一緒に仕事をしていました。
ちょうど福祉住居の建築が増え始めた時期で、「これから需要が高まるだろう」という読みもあり、ヘルパーの資格を取って知識を身に付けるために、デイサービスなどの施設に研修に行きました。
工務店で働いていたときは、施主さんと直接関ったり、「ありがとう」と言われる機会がなかったのですが、施設で働いてみて、人と人とが接して、相手の感情をダイレクトに感じられる仕事だと思いました。
それまではずっと工務店で働くつもりでいましたが、施設で働いてみて、「自分にはこっちのほうが合っているんじゃないか」と思ったんです。
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性に合っている、と思われたんですね。
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そうですね。もともとおじいちゃんおばあちゃん子で、高齢者と話をすることに抵抗もなかったです。介護の仕事を経験して、この仕事が好きだと感じました。
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どんなところにやりがいを感じられたのでしょうか。
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昔と今では少し考え方が違うかもしれませんが、どれだけ本人主体のケアができるか、という点でしょうか。
認知症介護の通所施設にいたころ、帰宅願望の強い利用者さんがいらして、ひんぱんに「帰りたい」と訴えられました。
そこで「いいよ。じゃあ一緒に行こうか」と声をかけ、散歩がてら外を歩いたんです。行けば行くほど知らないところへ行き、本人も不安になったのでしょう。
ふと振り返って僕がいたことで落ち着いて、「あんた、なんでこんなところにいるの」と。そのまま周辺を歩きながら、「〇〇さんにご案内したい場所があるんですよ、良かったら一緒に行きませんか?」と提案をし、一緒に戻りました。
そのことがあってから、その方はデイサービスを利用するのに抵抗がなくなったようです。以後その方のケアを任せてもらえて、自分にとっても「ケアにおいて相手の思いを中心に考えることの大切さ」を感じた大きな経験でした。
訪問看護の看護師は、“ヒーロー”のような存在
介護福祉士として、いくつかの施設で働かれたんですね。
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はい。通所介護の仕事をはじめ、小規模型から大規模型まで、いろいろ経験させてもらいました。
介護業界に20年いて、介護福祉士から徐々に生活相談員、施設長、最終的にはケアマネージャーもやりました。
大規模型の施設にいたときは、2店舗目、3店舗目の包括的な運営もやらせていただきました。
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介護現場の仕事だけでなく、スタッフのマネジメントなども経験されているんですね。現場とはまた違う、管理者としての難しさも感じましたか?
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そうですね。おそらく当時の職員からは、厳しい人と思われていたと思います。
僕としては、事業所が掲げる理念を明確に打ち出し、一緒に事業所を盛り上げていけるよう、配慮や努力をしてきたつもりです。
「地域にとって頼りになる事業所になろうよ」と、それが利用者様のため、ご家族のためであり、自分にも還ってくるんだと、伝えていました。
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ケアマネージャーをされていたので、当時から訪問看護ステーションとの関わりはあったんですね。
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はい。訪問看護師さんにはとてもお世話になりました。
僕は介護業界出身のケアマネージャーなので、どうしても医療のことや、主治医とのコミュニケーションに関しては経験不足もあったと思います。
そこを看護師さんに助けてもらったり、知らないことを教えてもらったり、提案してもらいました。緊急時に対応してもらったこともあります。
僕にとっては訪問看護師の存在って、ヒーローのような人なんですよ。でも当時、自分はケアマネ―ジャーとして勤務していて、職種も違うし、ステーションを経営するというのはやりたくてもできなかったです。
利用者様、事業所、働く人に関わるすべての人の幸せを目指す
その後、いったん介護とは別の仕事に就かれたんですね。
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はい。家業の継承でケアマネージャーは退職し、祖父がやっていた不動産賃貸の仕事を引き継ぎました。
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そこであらためて、訪問看護ステーションの立ち上げを考えられたのでしょうか。
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そうですね。うちは妻が訪問看護師として働いているんです。ふだんから妻の仕事ぶりを見ていて、訪問看護師ってすごくありがたい、大事な仕事だと感じています。
今後、日本の医療が向かっている、「病院に長期入院するより在宅で療養」という流れの中でも大事なポジションです。
ただ、その訪問看護師への待遇がまだまだ不十分だと感じます。お金の面はともかく、ケアマネージャー時代に自分がとても頼りにしてきた看護師さんたちも、すごく疲弊しているんじゃないかと、常々思ってきました。
妻も夜中にオンコールで呼び出しがあれば出かけて行き、そのまま朝から通常の勤務に行くこともあります。
看護師も人間だし、家族もいる。看護師が仕事に打ち込めて、プライベートも充実させられる環境を用意したい、作れるんじゃないかと考えました。
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奥様が訪問看護師ならば、なおさらその忙しさの実情がよく見えますよね。
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はい。見ている範囲、知っている範囲で訪問看護師は過酷な仕事だと思います。
僕の信条なんですけど、近江商人の「三方よし」という言葉、あれで言えば、利用者様、事業所、働いている人の三方がみんな笑顔でなくては、と思うんです。
そしてそこに関わる人すべてが笑顔にならないと、社会貢献にはならない。関わる人というのは、地域の人もそうだし、働く人の家族や友達も含めて、みんな笑顔にしたいと思っているんです。
家族に「疲れているね」じゃなくて「楽しそうだね」と言われる、そういうところを目指したいと思い、訪問看護ステーションの開業を決意しました。
訪問看護ステーションのキーワードは「地域」「信頼」「尊敬」
開業にあたり、パートナーとしてインキュベクスを選んでいただいた理由はなんでしょうか。
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以前、大規模通所介護施設の施設長を任されていたとき、新規事業の計画があり、訪問看護も可能性の一つとして検討したことがあります。
たまたま大阪でインキュベクスさんが事業説明会をされていて、そこに参加したんです。
結局、新規事業の計画は白紙に戻ってしまったのですが、そのときに印象的だったのが、「働くスタッフのやる気を引き出す」という考えをもって事業展開を目指す、というインキュベクスさんの姿勢です。
その後、僕が個人事業主となり、妻の働く姿を見ながらより良いステーションを作りたいと考えたとき、真っ先にインキュベクスさんの名前を思い出しました。
あらためて説明を受け、インキュベクスさんの「中小企業を応援する」というスタンス、「そこで働く人を応援したい」という理念をうかがい、一緒にやれたら心強いなと思いました。
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ありがとうございます。大変光栄です。
では、これから開業に向けて準備を進めていきますが、白井様が目指すビジョンをお聞かせいただけますか。
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はい。僕は法人を作るにあたっての理念を掲げています。会社名は「R3(アールスリー)」と言いまして、3つのR、Region=地域、Reliance=信頼、Respect=尊敬、の頭文字です。
「三方よし」も一緒ですが、住む場所、周りにいる人、家族、関わっている人すべてを大切にしていきたいという思いを込めています。
そして、年齢、性別、立場も育ってきた環境も違う人同士、尊重し、信頼すること。意見が違っていがみ合うのではなく、向き合うことで初めて人間関係が作れます。
こうした理念に沿って、訪問看護ステーションとして具体的にどういうことができるのか、これから一緒に働く仲間たちと考えていけたらと思っています。
働く人の思いを叶え、理念を実現していきたい
これから一緒に仕事をする看護師さんの採用活動もありますが、どのような方に来ていただきたいと考えていますか。
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スタンスとしては、僕の「こういうものを作りたい」という思いに「いいね」と思ってくださる人が嬉しいですね。
もちろん、来てくださる方にも、「こういうことがしたい」という思いがあれば、ぜひ教えて欲しいです。
もし、「そういうのがない」のでしたら一緒に考えたいと思います。仕事でも将来のことでもいいので、「あなたがしたいことを教えてほしいし、それを応援したい」という気持ちです。
そして、僕が持っている3つの理念をどうしたら叶えられるか、手伝ってもらえたら嬉しいです。
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白井様は奥様や、ケアマネージャーという立場で訪問看護に携わる看護師を見ていますし、働きやすい職場を作ることができそうですね。
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僕は看護師と同じ立場で働くことはできませんが、みなさんがやりたいことを叶えたいと思っています。
また、妻を見ていて家族として「事業所側がこうしてあげたらいいのに」という思いもありますし、訪問看護に行く看護師さんの課題の解決を、事業所として全力でフォローしたいと思います。
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「地域」「信頼」「尊敬」という素晴らしい理念を掲げ、利用者様、働く方、そのご家族や地域の人たちに笑顔をもたらすステーションとなるよう、私たちもサポートさせていただきたいと思います。
本日はどうもありがとうございました。